一度 Microsoft Entra ハイブリッド参加を正しく構成完了したにも関わらず [保留中] と表示される

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こんにちは、Azure Identity サポート チームの 名取 です。

弊社サポートでは、”一度 Microsoft Entra ハイブリッド参加を正しく構成完了したにも関わらず [保留中] と表示される” というご申告を頂戴することがあります。この事象については下記公開情報で解説されています。

Microsoft Entra ID の保留中のデバイス

上記公開情報をより分かりやすくするため、本ブログを用意しました。

本ブログで取り扱うデバイス状態

まず、本ブログにて取り扱うデバイス状態についてご説明します。デバイス状態を確認することができるコマンド [dsregcmd /status] の結果が、下図のように表記されている状態が対象です。

AzureADJoined : YES
DomainJoined : YES
DeviceAuthStatus : FAILED. Device is either disabled or deleted.

また、Microsoft Entra ID 上では登録済み欄が [保留中] となっている状態を表します。

[登録済み] 欄の日付が [保留中] に戻ることはありません

お客様によっては、前述の登録済み欄が「日付から保留中に変化した」と誤解される方がいます。しかしながら、登録済み欄は、[保留中] から [日付] に変化することはあっても、[日付] から [保留中] に変化することはありません。

この状態が発生する仕組み

では、何故 Microsoft Entra ハイブリッド参加を正しく構成したにもかかわらず、その後上図のようなデバイス状態となるのでしょうか。それは、一度 Microsoft Entra ハイブリッド参加が構成完了したあとに、Microsoft Entra ID 上から対象のデバイス オブジェクトが何らか削除されたからです。Microsoft Entra ID 上から対象のデバイス オブジェクトが削除された後に、再度 Microsoft Entra Connect によってデバイス情報が同期されると、Microsoft Entra ID の視点では “新たにデバイス オブジェクトが同期された” ことになるため、登録済み欄が [保留中] のデバイス オブジェクトが作成されます。そのため、Microsoft Entra ID 上に対象デバイスが新規に作成されますが、実際の対象デバイス上ではすでに Microsoft Entra ハイブリッド参加の構成が完了しているため、参加処理を改めて開始する動作は発生しません。

つまり、デバイス側は自身を参加済みと認識しており、Microsoft Entra ID 側は参加ステップの開始状態 (デバイスからの参加処理待ち) という状態になるため、登録済み欄は [日付] へ変更することなく、[保留中] のまま残り続けます。

この事象が発生するシナリオ

本事象に該当するデバイス オブジェクトの削除が発生する主なシナリオには下記の 2 つがあります。

  • 1 つ目のシナリオ: 管理者ロールを持つユーザーが、Azure ポータルやコマンドなどで、Microsoft Entra ID 上から該当デバイスを削除した場合

  • 2 つ目のシナリオ: オンプレミス AD 上で該当のコンピューターアカウントが Microsoft Entra Connect の同期対象外 OU に移動された後に、Microsoft Entra Connect の同期が行われた場合

本事象の解消方法

一度 Microsoft Entra ハイブリッド参加を正しく構成完了したにも関わらず [保留中] と表示される状態になった場合は、対象デバイスの Microsoft Entra ハイブリッド参加の構成を解除し、その後再構成することで解消します。再構成の手順は下記の弊社ブログをご参照ください。

Microsoft Entra ハイブリッド参加を再構成する (簡易版)

おわりに

以上、”一度 Microsoft Entra ハイブリッド参加を正しく構成完了したにも関わらず [保留中] と表示される” 事象について解説いたしました。上記内容が皆様の参考となりますと幸いです。ご不明な点等がありましたら、ぜひ弊社サポート サービスをご利用ください。

※本情報の内容(添付文書、リンク先などを含む)は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。