こんにちは。Azure & Identity サポート チームの関口です。
今回は、お客様が弊社サポートにお問い合わせする際にご指定いただく「深刻度 (重要度 / 緊急度) A」の詳細について紹介します。
本記事は Azure & Identity (Azure AD) サポートを念頭に置いてまとめたものですが、基本的には Azure サポート全般に当てはまります。どのような状況の際に「深刻度 A」での対応となるか、サポートをご利用いただく際の助けになれば幸いです。
Azure のサポートでは、深刻度を A ~ C に分類しています。
通常深刻度 (深刻度 B、もしくは C) は、日本時間の営業時間内 平日 9:00 ~ 17:30 の対応のみ承っています。
※ 土日祝日、年末年始、事前に 日本マイクロソフト サポート情報 (aka.ms/JSupport) にてお知らせするサポート休業日を除く
深刻度 A の支援を提供する際の条件・対応範囲については、以下の公開情報に詳細がありますので参照ください。
サポート プラン—サポート内容と応答性 | Microsoft Azure
プロフェッショナル サポートをご利用の皆様へ - Microsoft Services
深刻度 A は限定された範囲や条件での対応となるため、お客様のご状況に対して最適な深刻度 (B または C) を弊社より案内させていただく可能性がありますことをご了承いただければ幸いです。深刻度 A の対応に関する詳細な説明は以下をご参照ください。
▼ 深刻度 A の定義
「事業に重要な影響が及ぶ場合」の案件に対するご支援が該当します。
「事業に重要な影響が及ぶ場合」とは、サーバーダウン、データベース破損やメールの滞留、多数のユーザーがログインできない等、ビジネスに多大な影響を及ぼすような危機的状況を示します。製造業であれば生産ラインが止まる、金融業であれば取引システムダウン、医療関係であれば医療行為の妨げとなるなど、お客様のビジネスに大規模な損失や影響が発生している状態です。
たとえば、以下のようなご状況は深刻度 A として対応を実施します。
パターン 1 : Microsoft 365 を利用しているが、 Azure AD を利用したユーザー認証に失敗し、メールを使うことができない。
深刻度 A で対応します。なお、この場合は、大規模なデータセンター障害の可能性もありますので、先に Azure の状態 や Microsoft 365 Service health status (office.com) を参照し、お客様のテナントに依存しない問題が発生していないかの確認もお勧めします。
パターン 2 : オンプレミスで運用しているフェデレーション サーバー (AD FS) がダウンし、 AD FS に依存する認証に失敗する。
深刻度 A で対応します。なお、深刻度 A は復旧を目的としたご支援となるため、バックアップが存在する場合はバックアップからの復元、バックアップを利用できない場合はサーバーの再構築での対応を進め、復旧後の原因調査などは、深刻度 B または C での通常営業時間内での調査となります。
パターン 3 : Azure AD Connect でオンプレミスから Azure AD に同期を構成している環境で、大量のユーザー / グループを削除・変更してしまい、メールが届かなくなるなどの障害が発生した。
深刻度 A で対応します。削除したオブジェクトの復元などは必ずしもできない場合がありますが、復旧のための支援を深刻度 A で対応します。復旧後の原因、再発防止などの支援については、深刻度 B または C での通常営業時間内での調査となります。
一方、事象が既に解消されており原因究明を目的とした調査をご希望される場合や、設定方法の How To などのアドバイザリ要素を含む支援は 深刻度 A として承ることができません。
以下のような例では、深刻度 B または C での通常営業時間内の対応とさせていただいております。
パターン 4 : Azure AD を利用したユーザー認証に失敗する事象が発生したが、理由はわからないものの現在は解消されているように見受けられる。今のうちに原因究明を行い、再発する可能性がないことを保証したい。
明確に事象の再発が予期されるご状況ではない場合は、深刻度 A として承ることはできません。
パターン 5 : Azure AD を利用した多数のユーザー認証が失敗してしまう事象が発生した。Azure AD の特定の機能が原因であることは把握しており、無効にすれば事象の回避を行うことができるが、設定変更は避けたい。
事象の回避策がある場合は深刻度 A での対応継続はできず、基本的にはその対応による回避をお願いしております。事象回避策を実施することで、お客様の事業に重大な影響が生じることが想定される場合は、具体的な影響についてヒアリングの上、支援の判断をさせていただきます。
パターン 6 : プロジェクトのスケジュールの関係上、すぐに事象の原因を究明したい または 仕様の確認を行いたい。特定の日までに構築を完了させる必要があるため、本日中の解決を依頼したい。
基本的に深刻度 A での対応を承ることはできません。このような場合、案内の時刻や日付のお約束はできませんが、通常営業時間内で可能な限り早期に案内を差し上げることができるように善処します。
▼ 支援時間
弊社営業時間以外の深夜や休日であっても、24 時間 365 日エンジニアが対応します。
▼ 支援範囲
正常な状態で稼働していたサービスを危機的状況から脱却させるまでの復旧、問題回避を目的とした支援となります。仕様確認、危機的状況から脱却したあとの原因究明などは含まれません。事象の回避や復旧が完了した場合は、以降の支援は翌営業日以降での通常営業時間内での対応とさせていただきます。
▼ 支援条件
お客様がマイクロソフトの担当と常に電話で連絡が取れる状態であることが条件となります。
また、上述の通り、お客様環境を危機的状況から脱却させることを目的とした対応が深刻度 A の支援範囲となりますので、原則として、マイクロソフトの担当が依頼する切り分けや回避策の実施に全面的にご協力いただく必要があります。
なお、お客様と連絡が取れないなどの理由で、支援を満足にご提供できないと弊社が判断した場合、または、お問い合わせ内容が深刻度 A に該当しない場合、お問い合わせの深刻度を B または C に変更の上、通常営業時間内での対応とさせていただくことがあります。
▼ その他
• お客様の問題がお客様側の設定ミスに起因する問題であり、その解消のために、弊社データ センター側へエスカレーションを実施の上、データ センター側で対応が必要な場合 (例 条件付きアクセスによる管理者のブロック) は、緊急対応による即日の対応は困難となります。
• 問題の原因が、お客様もしくはサードパーティー製のアプリケーション (モジュール) にある可能性が高いとエンジニアが判断した場合、継続の調査を承ることができません。
• Azure データ センター側に起因した問題の原因は、基本的に Azure の状態の履歴 | Microsoft Azure に記載されている以上の情報開示はできません。
生じていた問題について問題解決の過程で判明したものであればお伝え可能ですが、原因究明それ自体を目的とした調査を承ることはできません。
(オンプレミス製品の原因の調査は、マイクロソフト ユニファイドサポート (旧 Premier サポート) をご利用いただいている場合のみご支援が可能です)
• Professional Developer サポートは、開発環境を想定しているため、深刻度 A もしくは B をご利用いただくことはできません。
以上の通り、深刻度 A は限定的な支援のご提供となりますが、深刻度 B や C では、お客様の状況や実現されたい内容をしっかりとヒアリングした上で腰を据えてよりきめ細かなご支援を提供することができます。また、深刻度の差異にかかわらず、どのようなお問い合わせにつきましても、サポート担当一人ひとりが誠心誠意をもってお客様の助けになるように努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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